2019/12/05

12月の園だより





12月の俳句
 <行く年や 猫うづくまる 膝の上>   夏目 漱石


 師走と聞くだけで何となく忙しさ、慌ただしさを感じます。
そして街にクリスマスソングや正月を迎える曲が流れ始めると
一気に背中を押されるような気もしてきます。子ども達は冬休みに入り、クリスマスプレゼントやお年玉を楽しみにして、わくわく、そわそわすることでしょう。
そして親にまとわりつく時間も多くなることと思います。親は何かと年末は忙しさに追われがちになります。そんな中でもたとえわずかな時間でも相手したり、遊んであげたりすると子どもの心は満たされ、快く年末年始を送ることができます。


<夕餉の話題>
玉川大学教育学部教授 大豆生田 啓友氏によれば「生きる力」すなわち人間力を育てる上で大切なこととして次の6点をあげています。


1、親子のスキンシップや甘えなどを通して、心の安定基地を作   る。
2、子どもの個性(その子らしさ)や主体性(自己決定)を大切にする。
3、子どものがんばっている姿をほめ、小さな成功体験を大切にするなど、自己調整力を育てる。
4、多様なあそび体験を通して、好奇心を持ったり夢中になる経験をする。
5、外あそびを通じて、多様にからだを動かしたり、自然にふれたりする経験をする。
6、絵本の読み聞かせを通して、コミュ二ケーションや言葉への興味を大切にする。



2019/11/01

11月の園だより



11月の俳句

<初霜に 負けて倒れし 菊の花> 正岡子規


 一般的に、10月はスポーツの秋、11月は文化の秋と言われます。
運動会で発揮したパワーを今度は作品展で発揮する番です。そこで子ども達がどんな個性を見せてくれるか楽しみにしています。
子どもに限らず人は皆、得意な事と不得意な事があります。そして不得意な事に注文をつけられるより、得意な事をほめられると快くなり、一層やる気が出て、成果をおさめます。
『ほめて育てる』ことの大切さを改めて感じます。


<夕餉の話題>


 日本の子どもは他国の子どもに比べて自信が無く自尊感情(自己肯定感)が低いという調査結果があります。愛情深く、優しく認め、良い所は大いにほめる事でこれらは育ちます。子ども達が次のような気持ちに満ちあふれた時に自信、自尊感情(自己肯定感)は育ちます。


●「自分は大切にされている!」という実感
●「ここにいていいんだ!」という安心感
●「挑戦したい!」という意欲
●「自分はできる!」という達成感
●「見守られている!」という信頼感
●「生まれてきて良かった!」という喜び
●「自分の人生を生きる!」という覚悟


(参考)「子どもが自信を失う言葉66」 学研



2019/10/01

10月の園だより



10月の俳句
<秋の山 静かに雲の 通りけり>  夏目 漱石


天高く、空澄み渡り 何をするにも心地良い季節になりました。
子ども達は、間近にせまった運動会に向けて、一生懸命練習に励んでいます。長い夏休みを経て、一層逞ましく成長した子ども達の活躍をご覧ください。そしてその頑張りを褒め称えて下さい。また今月は、移動動物園と秋の遠足があります。これらの行事を通して、動植物に親しみ、愛する心の持ち主になって欲しいものです。

<夕餉の話題>
幼稚園教育要領では、幼児期に育てたい資質・能力として次の
三つが書かれています。


(一) 豊かな体験を通じて感じたり、気づいたり、分かったりする 「知識および技能の基礎」
(二) 気づいたことや、できるようになったことを使い考えたり試したり、工夫したり、表現する「思考力、判断力、表現力等の基礎」
(三) 心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力、人間性等」


これらを踏まえて、幼稚園を卒園するまで次の10の力の育成が大切とされています。


①健康な心と身体 ②自律心 ③協同性
④道徳性・規範意識の芽生え ⑤社会生活との関わり
⑥思考力の芽生え ⑦自然との関わり・生命尊重
⑧数量や図形・標識・文字などへの関心・感覚
⑨言葉による伝え合い ⑩豊かな感性と表現



2019/09/02

9月の園だより





9月の俳句
<鶏頭が 立往生を したりけり> 小林 一茶


 長い夏休みも終わり、お子さんは楽しかった夏の思い出と友達、先生と会える喜びを胸に元気に登園してきました。
 いよいよ二学期が始まりました。お子さんができるだけ早く園生活のリズムを取り戻せるように、ご家庭との連絡をより密にしながら保育をすすめていきたいと思います。
 また二学期は、運動会を始めとし、たくさんの行事が計画されています。お子さんが元気に楽しく参加できるように保護者の皆様の積極的なご支援とご協力をお願い致します。







 人は個性や性格など『人格』を否定・攻撃する言葉をかけられると自分の価値を見失うことがあります。このことは大人も子どもも同じです。子どもだからと軽く見たりしないことが大事です。子どもを一人の人間として尊重するように大人が心がけると、それだけで「自分は大切にされているんだ!」という実感を持ち自信が湧き出してきます。






2019/07/12

7月の園だより



7月の俳句
 <青きところ 白きところや 夏の海> 高浜 虚子


8月の俳句
 <荒海や 佐渡に横とう 天の川> 松尾 芭蕉


7月7日は七夕まつりです。この夏、星のきれいな所にお出かけの際は、お子さんと一緒に星空を見上げて、織姫と彦星の話しをしながら、宇宙に大いなる夢とロマンを馳せてみて下さい。




[織姫と彦星のお話し]

 昔々、布を作るのが上手な織姫という女の人と、牛の世話をする彦星(牽牛)という男の人が星の世界に住んでいました。その二人は出会い結婚しました。それからというもの二人は遊んでばかりいて、仕事をしようとしませんでした。すると神様が怒って、たくさんの星でできた『天の川』を挟んで二人を離ればなれにしてしまいました。会えなくなった二人は毎日さびしくて泣いてばかりいましたが、自分達が遊んでばかりいたから罰が当たったんだと反省し、また一生懸命に働くようになりました。
それを見た神様は「一年に一度だけ7月7日の夜、天の川に橋をかけてあげるから会ってもいいよ」と言ってくれました。
                     (参考:ひかりのくに社 本より)


<夕餉の話題>

 入園、進級して4ヶ月が経ちました。それそれの学年に応じて『One for all,all for one』の心が芽生え、育ってきたように思えます。さあ、いよいよ夏休みです。
この期間中も次の事を出来る範囲で頑張らせてみて下さい。


1)決まりを守り、正しく生活する。
2)うそをつかず、明るく過ごす。
3)家族に頼りすぎず自分でやってみる。
4)苦しさに負けず精一杯がんばる
5)自然や公共物を大切にする。
 
楽しさいっぱい!思い出いっぱい!の夏休みにして下さい。
  

2019/06/03

6月の園だより



6月の俳句
<紫陽花に 雫あつめて 朝日かな> 加賀 千代女


いよいよ雨の季節の到来です。
子どもにとって雨の日に傘を差すのは大仕事です。
もともと傘は西洋で貴婦人が使う日よけ用のものが始まりと言われています。日本で雨よけとして使われ出したのは、江戸時代からで、それ以前に雨よけとして使われていたのは『かさじぞう』でおなじみの頭にかぶる笠だったようです。


<夕餉の話題>


進化論のダーウィンが残したといわれる言葉に


最も強いものが生きのびるのではなく
最も賢いものが生きのびるのでもなく
変化できるものが生きのびるのである

があります。

ここでの変化は適応と捉えることが出来ます。

私は過去に学校生活にうまく適応出来ずに不登校になった小・中学校を対象にした、適応指導教室で働いた経験があります。
通室してくる子どもが不適応になった原因は、自我意識が強く自己主張が強すぎて友達が離れてしまったケースや逆に友達に気を使い過ぎて疲れ果ててしまったケース等、百人百様でした。
不適応が進むと集団の中での自分の居場所が無くなり孤立してしまいます。
適応力を育むには社会性が芽生え、発達が著しい幼稚園時代が最適時と思います。そして集団に適応するために大切な力は
『人と心を通わす力』『我慢して行動する力』『くじけないでやり抜く力』などが考えられます。











2019/05/07

5月の園だより



5月の俳句
<五月雨を 集めてはやし 最上川>  松尾 芭蕉


 園庭では子ども達が作った鯉のぼりが勢い良く泳いでいます。5月5日は端午の節句で、もともとは男の子が丈夫に育つように各家庭で菖蒲を軒に差し、幟を立て、家の中には鎧・兜・刀剣を飾って祝っていました。
 現在では男女を問わず、すべての子ども達の健やかな成長を願って『子どもの日』として祝日になっています。
 虹組さんは園生活が一カ月経とうとしています。
当初、お母さんに泣いて、すがって、離れない光景が見られましたが、今ではすっかり落ち着いて賑やかな中にも、和やかな時間が流れています。


<夕餉の話題>

仏教に『無財の七施』という教えがあります。これは物やお金でなくとも人のために施しができるというものです。この七施の中のひとつに『心施』といわれるものがあり、人のために思いやりを忘れず、心くばりを惜しまないとする教えです。


昨年、次のような場面に遭遇しましたのでご紹介します。


1)未就園児の集まりの折、あるお母さんがお子さんに一所懸命     トイレの使い方、水の流し方、石けんの使い方を教えていました。
そしてその教えの言葉の最期は決まって「次に使う人の迷惑にならないようにね」「次の人が使いやすいようにね」と優しく結んでいました。


2)トイレの出入口で廊下を背にして、うずくまって何かをしている
女児がいるのでそっと覗いてみました。それは自分が履いたサンダルを手で向きを変え、しっかり揃えて端に寄せている所だったのです。なんとその女児は虹組(年少)の〇〇ちゃんだったのです。本当の思いやりや心くばりとは何か?を改めて学んだ瞬間でした。

2019/04/08

4月の園だより





4月の俳句
<菜の花や 月は東に 日は西に>
                     与謝 蕪村
春暖の候、お子様のご入園、ご進級おめでとうございます。


小さな胸に大きな期待と不安をいっぱい詰め込んで登園してくる新入園児とひとつ上の学年に進級し、出会いと想いを新たにした在園児によって新年度の幕は開かれました。


本園は保育のねらいとして次のことを進めてまいります。


●3歳児…一人ひとりの活動を保障しその中で友達と仲良く生活  する。 基本的な態度を育む。

●4歳児…いろいろな経験を通じ、友達と一緒に生活するための基本的な約束や活動への取り組みを身につけさせる。
●5歳児…自分の力を出し切り、主体的に行動しその中でお互いの良さを認め合う態度を培う。


<夕餉の話題>
4月は出会いの時です。この出会いをこれからの楽しい園生活につなげるためには『挨拶』が大変重要になります。挨拶には次のような意味があります。

『挨』…心を開く『拶』…その心に近づく
このことからお互いが自分の心を開くことで、相手の心を開かせその心に近づいていく積極的な行為といえます。
そのことで「あなたの存在を見つけました。よろしくお願いします」という人間関係をスタートさせるための大事な第一歩となります。そして挨拶は相手の目をしっかり見て明るく元気に心を込めてしあうと、お互いがとても良い気分になれます。良い気分になると、期待はますます大きく膨らみ、不安はまたたく間に消えて無くなります。

2019/03/04

3月の園だより



<3月の童話>


春よ来い・どこかで春が・うれしいひなまつり・チューリップ


ひと雨ごとに温かさが増し、年度の締めくくりの月がやってきました。
 雪組さんはいよいよ巣立ちを迎え、4月からはそれぞれの小学校で学童としての新たなスタートを切ります。小学校に入るとほとんどの事は自分ですることになります。幼稚園で培った事を土台として立派な小学生になることを願っています。
 保護者の皆様方には3年間の送迎に加え、園の諸行事へのご協力等で数々のご負担をおかけしました。
 このことに対し深く感謝申し上げます。

<夕餉の話題>
 
これからの時代を生き抜くのに必要な能力は非認知能力であり、この能力を育てるには遊び込ませることが大切と言われています。
 遊びの中でも外あそびは子どもの身体能力を高め、脳の活動を活性化させ非認知能力を上げるそうです。
 『非認知能力の育て方』の著書・ボーク重子氏はその著書の中で「子どもの仕事は遊ぶこと。そんな中から子どもは非認知能力を育んでいきます。…(中略)…ドリルの時間があったら、代わりに泥団子をつくることを試して下さい」と書いています。
 寒空の下、一心不乱に泥団子をつくっている子どもを見て「これでいいのだ!」と確信した次第です。


(非認知能力とは)
 問題を見つけ解決する力、想像する力、行動する力、我慢する力、やり抜く力、コミュニケーション力などの生きる力。


(認知能力とは)
 読む力、書く力、計算力などIQやテスト結果のような数値化できる力。

2019/02/01

2月の園だより



(2月の童謡)
まめまき・おおさむこさむ
こぐまの二月・春よ来い


 梅の蕾も膨らみを増し、いよいよ春はそこまでやって来ました。とは言え、まだまだ寒さは続きます。お体をご自愛下さい。
 4日は節分で豆まきをします。古来、神様のお供えとしてまた「まめ」という言葉は、魔物の鬼を滅亡させる「魔滅」(まめつ)から豆をまいて鬼退治をするようになったとも言われています。




<夕餉の話題>
 子どものしつけは「つ」のつくうちにと言われます。これは子どもの歳を数える場合、1歳なら「ひとつ」2歳なら「ふたつ」…そして9歳「ここのつ」まで「つ」がつきますが、10歳は「とう」でここから「つ」がつかなくなります。
 つまりしつけは9歳までしっかり行いましょうということのようです。
しつけは子どもが人とのかかわりの中で自分を大切にして、生きていく方法を身につけさせる事と言えそうです。
 この時親は自分の思いを先行させる事なく、我が子の発育・発達に応じた健康な心と身体を育てるしつけがとても大切になります。











2019/01/08

1月の園だより

(1月の童話)
お正月・一月一日・たこのうた・だいこくさま


新年 明けましておめでとうございます。
今年も良い年でありますようお祈り申し上げます。


子ども達はこの年末年始を楽しく過ごしたことと思います。
間もなく雪組さんは卒園し、小学校入学となり大きな階段を昇ることとなります。
また花組さん、虹組さんもそれぞれひとつ上の学年になります。子ども達一人ひとりが節目節目を越えるごとに強くたくましく成長することを願って止みません。


<夕餉の話題>

私がインコやクジャクのお世話をしていると決まって子ども達は「何してるの」「どうして」「ぼく(わたし)もやりたい」と言ってきます。
 子どもはあれも、これも知りたくて、やってみたくていつもうずうずしています。
 「知りたい」「やりたい」という好奇心は、子どもが行動するための意欲そのものです。子どもは意欲を原動力にして新しいことに挑戦します。
このことは将来にわたって大切な力になります。
 大人は子どもの興味を深め広げる役目を担っているものと考えます。それなのに「大きくなったらわかるよ」「それは危ないからだめよ」などとせっかく生まれた好奇心をしぼませるような言動はつつしむことが大事のような気がします。